
「事業を拡大したいけれど、自己資金だけでは不安」「新しい設備を導入したいが、コストがネックになっている」といった悩みを持たれている方もおられるのではないでしょうか。国や地方自治体は、事業者の挑戦を後押しするためにさまざまな補助金制度を用意しています。
この記事では、国や自治体が提供する主要な補助金制度について分かりやすく解説します。この記事を読めば、事業フェーズや目的に合った補助金を見つける第一歩につながるため、ぜひ参考にしてみてください。⇒レイアップに相談する(無料)
目次
補助金と助成金の違い
事業の成長を後押しする資金調達の方法として、補助金と助成金はよく知られています。どちらも国や地方自治体から支給される返済不要の資金ですが、その性質には明確な違いがあります。それぞれの特徴を理解して、目的に合った制度を正しく選択できるように、2つの違いについて解説します。
1.目的と管轄
補助金は、主に経済産業省や地方自治体が管轄しています。
たとえば、新規事業の創出や生産性向上、DX推進など、国の政策目標に沿った事業の取り組みを支援する目的です。このため、申請には詳細な事業計画書が必要となり、審査を経て採択されなければなりません。
一方、助成金は主に厚生労働省が管轄しており、雇用の安定や労働環境の改善を目的としています。定められた要件を満たしていれば、原則として受給できる点が特徴です。
2.受給の難易度と金額
補助金は、政策目標達成のための優れた事業を選抜するため、予算や採択件数に上限が設けられています。
このため、申請しても必ず採択されるとは限らず、競争率が高いものも少なくありません。その分、支援される金額は数百万円から数億円規模と、助成金に比べて大きい傾向にあります。
一方、助成金は要件を満たせば受給できる可能性が高く、多くの事業者が活用しやすい制度です。支給額は数十万円から百万円程度が中心で、補助金ほどの大きな金額にはなりにくい点が異なります。
国が実施する主要な補助金一覧10選
国が実施している補助金は多岐にわたりますが、ここでは特に活用事例が多く、様々な事業目的で利用しやすい代表的な制度をピックアップしてご紹介します。課題や目指す方向性と照らし合わせながら、最適な補助金を見つけるための参考にしてください。
1.事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、社会経済の変化に対応しようとする中小企業の挑戦を支援する制度です。新市場への進出、事業や業種の転換、国内回帰といった、思い切った事業再構築が補助の対象となります。
補助額が最大で数億円規模と大きい点が特徴で、企業の成長枠やグリーン成長枠など、事業の特性に応じた複数の申請類型が用意されています。また、申請には、認定経営革新等支援機関と連携して策定した具体的な事業計画書が必要です。
採択されるためには、事業の革新性や市場の成長性、政策目標への貢献度などを明確に示す必要があり、難易度の高い補助金のひとつです。
なお、ホームページ制作やリニューアルで申請できる補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2025年最新】ホームページ制作やリニューアルで申請できる補助金や助成金は5つ|注意点もご紹介!
2.ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者が生産性向上を目指して取り組む、革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する制度です。「ものづくり」という名称ですが、卸売・小売業やサービス業など、幅広い業種で活用可能です。
最新の機械装置やシステムの導入費用が対象経費となり、事業計画の革新性や実現可能性が審査で重視されます。省力化(オーダーメイド)枠や製品・サービス高付加価値化枠など、企業のニーズに合わせた枠が設けられており、持続的な賃上げを行う企業へのインセンティブも用意されています。
3.IT導入補助金

参考:IT導入補助金|サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金事務局
「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が業務効率化や売上向上を図るためにITツールを導入する際の経費を一部補助する制度です。会計ソフトや受発注システム、決済ソフト、勤怠管理システムといったソフトウェアの購入費やクラウドサービスの利用料が主な対象となります。
インボイス制度への対応を支援する「インボイス枠」では、PCやタブレット、レジといったハードウェアの購入費用も補助対象になるなど、手厚い支援が特徴です。申請は、事前に採択されたIT導入支援事業者が提供するツールの中から選んで行う仕組みとなっており、事業者単独では申請できません。
なお、岡山でおすすめのIT導入支援事業者については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【岡山版】おすすめのIT導入支援事業者7選|役割や種類、選ぶポイントまで詳しくご紹介!
4.小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、従業員数が少ない小規模事業者が、地域の商工会や商工会議所の支援を受けながら作成した経営計画にもとづき、地道な販路開拓の取り組みを支援する制度です。
新たな顧客を獲得するためのチラシ作成や広告掲載、ウェブサイトの構築・改修、店舗の改装、展示会への出展費用など、幅広い経費が対象となります。補助上限額は数十万円からとほかの補助金に比べて少額ですが、その分、小規模な事業者が直面する経営課題の解決に使いやすい点が魅力です。
また、制度変更に対応する事業者への上乗せ措置も用意されており、持続的な経営を目指す小規模事業者にとって心強い味方です。
5.事業承継・引継ぎ補助金

「事業承継・引継ぎ補助金」は、後継者不在などの問題を抱える中小企業の事業承継やM&Aを促進し、貴重な経営資源や技術、雇用を次世代へ引き継ぐことを目的とした制度です。
この補助金は、事業承継を機に新たな取り組みを行う「経営革新事業」、M&Aの際に買い手や売り手がかける費用を補助する「専門家活用事業」などの3つの類型があります。
専門家活用事業では、M&Aのマッチング費用やデューデリジェンス(企業調査)にかかる専門家への謝金や委託費などが対象となり、円滑な事業の引継ぎを後押しします。
6.中小企業省力化投資補助金

「中小企業省力化投資補助金」は、深刻な人手不足に悩む中小企業等を対象に、IoTやロボットといった省力化製品の導入を支援する新しい制度です。この補助金の特徴は、事務局が事前に性能や価格を認証・登録した製品カタログのなかから、設備投資先を選ぶ「カタログ型」である点です。
これにより、製品選定の手間が省け、迅速な導入が可能となります。単純な機械の置き換えではなく、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革して、人手不足を解消したい事業者にとって、即効性の高い支援策として注目されています。
なお、中小企業省力化投資補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2025年最新】中小企業省力化投資補助金とは?補助内容と上限金額や活用するメリットをご紹介!
7.省エネルギー投資促進支援事業費補助金

参考:省エネルギー投資促進支援事業費補助金|一般社団法人環境共創イニシアチブ
「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、事業者が高効率空調や産業用ヒートポンプ、LED照明、業務用給湯器など、省エネルギー性能の高い設備を導入する際の費用を補助する制度です。
エネルギー価格の高騰が続く中、企業のコスト削減と、CO2排出量削減による環境負荷の低減という2つの目的を達成するために設けられています。申請にあたっては、エネルギー使用量に関する詳細な計算や報告が求められるため、専門的な知識が必要になる場合があります。
8.中小企業経営力強化資金

「中小企業経営力強化資金」は、厳密には補助金ではなく、日本政策金融公庫が提供する融資制度の1つです。自ら事業計画を策定して、税理士や中小企業診断士といった認定経営革新等支援機関の指導や助言を受ける創業者や中小企業を対象としています。
この制度は、通常よりも低い金利で融資が受けられる点や、自己資金要件が問われず、無担保・無保証人で利用できる場合がある点が特徴です。融資実行後も、定期的に事業計画書の進捗を報告する必要があり、継続的な経営サポートが受けられます。
9.成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)

参考:成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)|経済産業省
「Go-Tech事業」は、中小企業が大学や公設試験研究機関などと連携して取り組む、ものづくり基盤技術の高度化に資する研究開発やその事業化に向けた取り組みを支援する制度です。研究開発フェーズから、試作品開発、事業化までを最長3年間、一貫して支援する点が特徴です。
単独での申請はできず、大学との共同研究体制が必須となります。革新的な技術シーズの実用化を目指す技術系スタートアップや、既存事業の競争力を抜本的に高めたいと考える中小企業にとって、大規模な研究開発に挑戦するための重要な資金調達手段となります。
10.キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者やパートタイム労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、事業主に対して助成を行う制度です。厚生労働省が管轄する「助成金」であり、定められた要件を満たせば原則として受給できる点が特徴です。
非正規雇用労働者を正社員化する「正社員化コース」のほか、賃金規定等を改定して処遇を改善するコースなど、目的に応じて複数のコースが用意されています。人材育成と労働環境の改善を通じて、企業の持続的な成長を目指す事業者が活用を検討すべき制度です。
補助金選びで失敗しないためのポイントは3つ
ここでは、補助金選びで失敗しないために、意識すべきポイントを解説します。これらの点を事前に確認すると、申請準備をスムーズに進め、採択の可能性を高められます。
1.事業目的との整合性を確認する
補助金は、それぞれ特定の政策目標を達成するために設計されています。たとえば、設備投資による生産性向上を目指す「ものづくり補助金」に、単なる販路開拓の計画で申請しても採択は困難です。
公募要領を熟読して、補助金の趣旨を正しく理解してから、自社の事業のどの部分を強化・改善するために活用するのかを明確にしなければなりません。
2.公募期間と申請スケジュールを確認する
補助金には、必ず公募期間が定められており、数週間から1か月程度と短い場合が多いです。気づいたときには締め切りが間近に迫っているケースも少なくありません。
常にアンテナを張り、中小企業庁のウェブサイトなどで最新情報を確認しましょう。また、申請には事業計画書の作成や必要書類の準備など、多くの時間を要します。スケジュールに余裕を持って、計画的に準備を進めてください。
3.専門家へ相談する
補助金の申請手続きは複雑で、専門的な知識が求められる場面も多くあります。採択を大きく左右する事業計画書の作成は、自社の強みや事業の将来性を論理的にアピールする必要があり、作成に慣れていないと難しく感じやすいです。
このような場合は、中小企業診断士や行政書士、認定支援機関などの専門家への相談も有効な手段です。客観的な視点からのアドバイスは、計画の質を高めるために役立ちます。
補助金申請の基本的な流れは4ステップ
ここでは、公募開始から補助金が振り込まれるまでの一般的な流れを4つのステップに分けて解説します。全体像を把握しておくと、各段階で何をすべきかが明確になり、計画的に準備を進められます。
ステップ1.情報収集と公募要領の確認
自社の事業に合致する補助金を見つけるための情報収集からはじめます。中小企業庁の「ミラサポplus」や各補助金の公式サイトなどで公募情報を確認しましょう。
利用したい補助金が見つかったら、必ず「公募要領」をダウンロードして隅々まで読み込みます。対象となる事業者や経費、スケジュール、申請要件などの詳細を正確に把握してください。
ステップ2.事業計画書の作成
公募要領の内容に沿って、事業計画書を作成します。これは補助金の審査において大切な書類です。
自社の現状分析や課題、補助金を活用して何を実現したいのか、その事業がどのように社会や経済に貢献するのかを、具体的かつ論理的に記述する必要があります。説得力のある計画書を作成するためには、十分な時間を確保しなければなりません。
ステップ3.電子申請
多くの補助金申請は「Jグランツ」という電子申請システムを利用して行われます。Jグランツを利用するためには、事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。
このIDの発行には数週間かかる場合があるため、申請を検討している場合は早めに取得手続きを済ませておきましょう。準備した事業計画書やその他必要書類を、システム上で提出して申請は完了となります。
ステップ4.採択後の手続き
申請期間が終了すると審査が行われ、後日、採択か不採択かの結果が通知されます。無事に採択された場合、「交付決定通知」を受け取ってから事業の開始が一般的です。
事業期間中に計画通りに経費を支出して、事業が完了したら、かかった経費の証拠書類などを添えて「実績報告書」を提出します。この報告書の内容が検査で認められて、補助金が指定の口座に振り込まれるという「後払い」が原則です。
補助金 一覧でよくある3つの質問
次は、補助金 一覧でよくある質問について解説します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.個人事業主でも使える補助金はありますか?
個人事業主やフリーランスの方が利用できる補助金も数多くあります。「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」、「ものづくり補助金」などは、個人事業主も対象としています。
しかし、各補助金の公募要領で定められている従業員数などの「小規模事業者」の定義を満たす必要があるため、申請前に必ず確認しましょう。
なお、IT導入補助金は個人事業主でも申請可能かについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:IT導入補助金は個人事業主でも申請できる?申請方法や必要な書類を詳しく解説!
質問2.補助金はいつもらえるのですか?
補助金は、原則として「後払い」です。申請者が事業計画に沿って、必要な経費を全額自己資金や融資で支払い、事業を完了させます。
その後、かかった経費の証拠書類を揃えて事務局に「実績報告」を行い、検査を経て確定した金額が支払われる流れとなります。このため、採択されたからといってすぐに資金が振り込まれるわけではないため、事業実施期間中の資金繰り計画を立てておきましょう。
質問3.複数の補助金を同時に申請できますか?
原則として、同一の事業内容で複数の国の補助金を重複して受給できません。しかし、事業内容が明確に異なる場合(A事業で「ものづくり補助金」、B事業で「IT導入補助金」を利用するなど)であれば、複数の補助金を申請・受給できる可能性があります。
また、国と地方自治体の補助金のように財源が異なる場合は、併用が認められるケースもあります。詳細は、各補助金の公募要領で確認するか、事務局に問い合わせましょう。
まとめ
本記事では、国の主要な補助金を一覧でご紹介するとともに、助成金との違い、補助金選びのポイント、申請の基本的な流れについて解説しました。
補助金は、返済不要で事業の成長を後押ししてくれる強力なツールです。しかし、補助金の活用には公募要領の正確な理解、説得力のある事業計画書の作成、計画的なスケジュール管理が不可欠です。
まずは、自社の事業フェーズや課題を明確にして、目的に合った補助金を見つける必要があります。そして、公式サイトで最新の公募情報を確認し、申請準備の第一歩を踏み出しましょう。また、専門家の力も借りながら、ぜひ補助金を有効活用して、事業の成長を実現させてください。
